市原の被災宅に飛び込み営業|「火災保険で自己負担0円」の断り方とクーリングオフ8日

災害に便乗した悪質商法への注意(画像はイメージ)

8月13日・14日の豪雨で被害を受けた市原市に、修理業者の飛び込み営業が入っています。市原市は公式サイトで「災害に便乗した悪質商法にご注意ください」と注意喚起しています。

いちばん多いのは「火災保険を使えば自己負担なしで直せます」という勧誘です。これ自体は嘘ではありませんが、そのあとに問題が起きます。

この記事は2026年8月25日時点で、市原市・国民生活センター・日本損害保険協会の発表から確認できた内容です。

目次

まず覚えてほしい1つのこと

その場で契約しない。これだけです。

訪問してきた業者に「今日中に決めてもらえれば」「近所も頼んでいる」と言われても、その場でサインしないでください。本当に必要な工事なら、明日でも来週でも受けてくれます。

迷ったら、契約する前に消費者ホットライン「188」に電話してください。市町村・都道府県の消費生活センターにつながる全国共通の3桁番号です。

災害に便乗した悪質商法への注意(画像はイメージ)
市原市が公式に注意喚起している。その場で契約しないことが最大の対策(画像はイメージです)

「火災保険で自己負担なし」の何が問題なのか

火災保険は風水害の損害にも使えます。だから「保険で直せる」という説明自体は間違っていません。問題は、そのあとに起きることです。

言われること実際に起きること
「保険金が下りるので自己負担0円です」保険金が下りなかった場合、工事代金を全額請求される
「申請は代行します保険金の30〜50%を手数料として取られる契約になっている
「まず無料点検だけでも」屋根に上がられ、点検中に壊されるケースもある
「キャンセルはいつでも」解約時に高額な違約金を請求される

国民生活センターによると、火災保険に関するリフォームトラブルの相談は2010年から約20倍に増えています。災害のあとに増えるのが特徴です。

保険金が下りない理由になるもの

火災保険は「今回の災害で壊れた」ものにしか下りません。次のような場合、申請しても下りないことがあります。

  • 経年劣化による傷み ― 前から傷んでいた箇所は対象外です
  • 損害額が免責金額を下回る ― 契約によって金額が違います
  • 被害から3年を過ぎている ― 保険法で請求権が時効になります

業者は「下りる」と言い切りますが、判断するのは保険会社です。下りなかったときに誰が払うのか、契約書で確認してください。

数字で見る|今回の豪雨と、過去の便乗商法

項目数字
豪雨があった日2026年8月13日・14日
市の情報一覧の閲覧数28,477回(2026年8月25日時点)
市が被害・対応状況を公表した時点8月18日8時
クーリング・オフの期限書面を受け取った日を含めて8日以内
保険金請求権の時効被害から3年
火災保険リフォーム相談の増加2010年から約20倍(国民生活センター)
建設業許可が必要になる工事500万円以上
消費者ホットライン188(3桁)

市の情報一覧が28,477回見られています。それだけの人が今回の豪雨で情報を探したということです。業者側もその状況を把握したうえで訪問しています。

災害から時間が経つほど、手口が変わります

  • 発生から1週間 ― 「今すぐ応急処置を」と急がせる。ブルーシート掛けで高額請求
  • 2週間〜1か月「火災保険で直せる」型がいちばん増える時期。今がここです
  • 1〜3か月 ― 「保険申請サポート」の名目で手数料を取る契約
  • 3年経過後 ― 保険金の請求権が時効になります

8月13日の豪雨から2週間が経ちました。ちょうど「火災保険で直せる」の勧誘が増える時期に入っています。

断り方|3つ言えば十分です

  1. 「保険会社に先に確認します」 ― これが最も効きます。まっとうな業者なら待ちます
  2. 「家族と相談してから決めます」 ― その場で決めない理由として十分です
  3. 「見積書を置いていってください」 ― 置いていかない業者とは契約しない方がいいです

玄関を開けなくても構いません。インターホン越しに「今は結構です」と言って切って問題ありません。

クーリング・オフの期限(画像はイメージ)
訪問販売なら書面受領日を含めて8日以内。工事が始まっていても解除できる(画像はイメージです)

もう契約してしまった場合

訪問販売で契約した場合、クーリング・オフができます。契約書面を受け取った日を含めて8日以内なら、無条件で解除できます。

  • 書面またはメールなど、記録が残る方法で通知します
  • 8日以内に「発信」すればよく、相手に届く日は問いません
  • すでに工事が始まっていても解除できます(原状回復の費用は業者負担)
  • 違約金や損害賠償を請求されても、支払う必要はありません

8日を過ぎていても、あきらめずに188に相談してください。説明に問題があった場合、別の方法で解除できることがあります。

契約書のどこを見るか|5か所だけ確認すれば足ります

その場で契約しないのが大前提ですが、実際に契約する段になったら、次の5か所を見てください。ここに問題がある契約書は、署名しない方がいいものです。

1. 「保険金が下りなかった場合」の記載

これがいちばん重要です。保険金が下りなかったとき、工事代金をどうするかが書かれているか確認してください。

  • 「保険金の入金をもって支払いとする」と書いてあれば、下りなければ払わなくてよい形です
  • 記載が無い場合、下りなくても工事代金は全額請求されます
  • 「保険金が下りない場合は契約を解除できる」という条項があるかも見てください

口頭で「下りなければ払わなくていい」と言われても、書面に無ければ効力がありません。その場で書き足してもらってください。応じない業者とは契約しないことです。

2. 工事金額の内訳

「屋根工事一式 ◯◯万円」だけの見積書は、比較ができません。次のように分かれているのが正しい形です。

項目あるべき記載
材料費単価×数量(例: ◯◯円/㎡ × ◯㎡)
足場㎡単価と面積。屋根工事では別項目になります
撤去・処分費既存材の撤去と廃材の処分
諸経費工事費の10〜15%程度が一般的

足場代が入っていない屋根工事の見積書は、あとから追加請求される可能性があります。

3. 工期

着工日と完了予定日が書かれているか。「天候により変動」とだけ書かれ、日付が無い契約書は避けてください。

4. 支払いのタイミング

  • 全額前払いを求める業者は避けてください
  • 着手金と完了時の分割が一般的です(着手金は工事費の30〜50%程度)
  • 現金の手渡しを求められたら、いったん保留にしてください

5. 業者の情報

会社名・住所・電話番号・代表者名が書かれているか。携帯電話番号だけ、住所が番地まで書かれていない、といった契約書は要注意です。

建設業許可を受けている業者なら、許可番号を書けます。「千葉県知事許可(般-◯)第◯◯◯◯◯号」という形式です。許可の有無は千葉県のウェブサイトで検索できます。

実際にあった手口|3つの型

型1|無料点検から始まる

「近くで工事をしていて、お宅の屋根が浮いているのが見えた」という入り方です。無料で点検すると言われ、屋根に上がられます。

問題は、上がったあとに何が起きたか分からないことです。点検中に瓦をずらして写真を撮る、という事例が報告されています。「こんなにひどい状態です」と見せられた写真が、点検前のものとは限りません。

屋根に上がらせる前に、自分か家族も一緒に見られる状態にしてください。スマートフォンで撮ってもらうだけでも違います。

型2|保険申請のサポート料

「保険の申請は難しいので代行します」という契約です。手数料が保険金の30〜50%になっていることがあります。

保険の申請は、契約者本人が保険会社に連絡すればできます。代行を頼まなければならないものではありません。保険会社に電話して「風水害の被害を申請したい」と言えば、必要な書類を案内してくれます。

国民生活センターによると、火災保険に関するリフォームトラブルの相談は2010年から約20倍に増えています。

型3|解約時の違約金

「保険金が下りなかったので解約したい」と言うと、違約金を請求される型です。契約書の裏面に小さく書かれていることがあります。

訪問販売なら、8日以内はクーリング・オフで違約金なしに解除できます。この期間中に解約を申し出た場合、違約金の請求には応じる必要がありません。

相談する順番

困ったときに、どこから当たればいいかの順番です。

  1. 契約前に迷ったら → 消費者ホットライン 188
    市町村・都道府県の消費生活センターにつながります。契約前でも相談できます
  2. 保険が使えるか知りたい → 契約している保険会社
    証券番号を手元に置いて電話してください。業者を通す必要はありません
  3. 片づけの人手が足りない → 市原市社会福祉協議会 0436-20-3100
    災害ボランティアの相談窓口です。費用はかかりません
  4. 罹災証明・災害ごみ → 市原市
    各種支援の入口になります
  5. すでにトラブルになっている → 188 に連絡
    契約書と、やり取りの記録を手元に置いてから電話してください

1〜4を先に当たれば、業者に頼む範囲が小さくなります。公的な制度で片づく部分と、工事が必要な部分を分けてから見積もりを取ってください。

記録を残しておくもの

  • 被害状況の写真 ― 片づける前に撮っておく。保険申請と罹災証明の両方で使います
  • 業者とのやり取り ― 訪問日時、担当者名、言われた内容
  • 契約書と見積書 ― 受け取った日付を控えておく(クーリング・オフの起算日になります)
  • 領収書 ― 支払った分

写真は、片づけてしまうと撮り直せません。被害があった時点で撮っておいてください。

市原市が挙げているその他の注意

市の公式サイトには、悪質商法のほかに次の注意が載っています。

  • 被災地支援をうたう不審なSNSのダイレクトメッセージ(国民生活センター)― 義援金を装って個人情報や送金を求めるものです
  • ロードサービス業者との料金トラブル(日本損害保険協会関東支部)― 冠水で動かなくなった車のレッカー費用で高額請求される例があります

義援金を出すなら、市の窓口かふるさと納税を通してください。市原市は「ふるさと納税を通じた災害支援の寄附」を受け付けています。

先に使うべき公的な支援

民間の業者に頼む前に、市の制度を確認してください。市原市は8月の豪雨で災害救助法の適用を受けており、被災者向けの支援があります。

使えるもの窓口
罹災証明書(各種支援の入口になります)市原市
災害ごみの受け入れ市原市
災害ボランティア(片づけの手伝い)市原市社会福祉協議会 ボランティアセンター
0436-20-3100
被災者への支援情報一覧市原市 危機管理課 0436-23-9823

片づけだけなら、災害ボランティアに依頼できます。費用はかかりません。業者に高額で頼む前に、社協に相談してください。

罹災証明と災害ごみの手続きは市原市の罹災証明と災害ごみにまとめています。

屋根裏に獣が入ったなど、豪雨とは別の被害で業者を呼ぶ場合も、考え方は同じです。公的な窓口を先に確認してから民間に頼む順番は変わりません(市原市でアライグマ・ハクビシン・イノシシが出たら)。

この夏の市原は、豪雨のあとに猛暑が来ています。片づけ作業は熱中症の危険が高い状態で行うことになります(8/26は34℃と雷雨・熱中症警戒アラート発表中)。作業は午前の早い時間に、複数人で行ってください。

それでも業者に頼むときの確認事項

屋根や外壁の工事は、公的な支援では直りません。最終的には業者に頼むことになります。そのときに確認する点です。

  1. 市内または近隣に事務所があるか ― 何かあったときに行ける場所かどうか
  2. 建設業許可の番号を言えるか ― 500万円以上の工事には許可が必要です
  3. 見積書に「一式」ではなく内訳があるか ― 単価と数量が書かれているか
  4. 保険金が下りなかったときの扱いが契約書にあるか ― ここが最重要です
  5. 解約したときの費用が書かれているか

複数の業者から見積もりを取ると、金額の妥当性が分かります。1社だけの見積もりでは、高いのか安いのか判断できません。

この記事で確認できていないこと

  • 市原市内での実際の被害相談件数 ― 市は注意喚起をしていますが、件数は公表されていません
  • 災害ボランティアの受付状況 ― 2026年8月25日時点の募集状況は社協へ確認してください
  • 個別の業者名 ― この記事では扱いません
  • 火災保険の免責金額 ― 契約によって違うため、ご自身の証券で確認が必要です

相談先

※この記事は2026年8月25日時点で確認できた内容です。制度や受付状況は変わることがあります。行動する前に各窓口へ確認してください。

災害に便乗した悪質商法への注意(画像はイメージ)

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