鴨川市仲の吉保八幡神社で、県指定無形民俗文化財「吉保八幡のやぶさめ」が2026年9月27日(日)に開催されます。起源は鎌倉時代中期までさかのぼるとされる、五穀豊穣を占う神事です。
この記事では、開催日程・アクセス・駐車場・雨天時の扱いをまとめました。
開催日程
千葉県公式観光サイト「ちば観光ナビ」によると、開催日は2026年9月27日(日)、開催時間は15:00〜です(天候等により前後する可能性あり)。会場は吉保八幡神社、住所は千葉県鴨川市仲253-1です(ちば観光ナビ、2026年8月21日時点)。
鴨川市公式サイトによると、この神事は毎年9月の最終日曜日に開催されています。2025年(令和7年)は9月28日に行われており、2026年の9月27日も同じ「最終日曜日」のパターンにあたります(鴨川市公式サイト、2026年8月21日時点)。
吉保八幡神社の由緒

吉保八幡神社は、829年(天長6年)に宇佐八幡を吉保の地の守護神として祀ったことに始まると伝わります。その後、室町時代の文安年間(1444年〜1448年)に、里見家の家臣・緒方茂次によって再興されたとされています。
流鏑馬(やぶさめ)自体の起源は鎌倉時代中期の文永年間(1264年〜1275年)に始まったとされ、1965年(昭和40年)4月27日に千葉県の無形民俗文化財に指定されました。もともとは地頭であった畠山氏・鈴木氏の家系によって伝承されてきましたが、現在は仲・大川面・宮山・八丁の各地区の氏子らでつくる保存会によって受け継がれています。
750年以上にわたって地域の氏子たちの手で継承されてきた神事だという点も、この祭りの重みを物語っています。担い手が武家から地域住民へと移り変わりながらも、神事そのものの形式は大きく変わらず守られてきたとみられます。過疎化・高齢化が進む地域も多い中、こうした伝統行事を継続して開催していること自体が、地域の結束の強さを示していると言えるでしょう。
神事の内容
白装束の騎射者が、約210メートル(120間)の馬場を疾駆しながら3つの的に向かって矢を放ちます。これを3回繰り返し、矢の当たり外れによって翌年の稲作(早稲・中稲・晩稲)の豊凶を占う神事です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 起源 | 文永年間(1264年〜1275年、鎌倉時代中期) |
| 文化財指定 | 1965年4月27日、千葉県指定無形民俗文化財 |
| 馬場の長さ | 約210メートル(120間) |
| 的の数 | 3つ(早稲・中稲・晩稲を象徴) |
| 射撃回数 | 3往復、合計9回 |
| 継承主体 | 仲・大川面・宮山・八丁地区の氏子による保存会 |
的に当てることそのものよりも、矢が当たったか外れたかによって天からのお告げがもたらされると考えられており、外れることにも意味があるとされています。武芸としての流鏑馬というより、農耕儀礼としての性格が強い神事です。
騎射者には1週間の精進潔斎(しょうじんけっさい)が定められており、神事に臨む前に身を清める期間が設けられています。この点からも、単なる見世物ではなく、神聖な儀式として大切にされてきたことがうかがえます。
アクセス
車の場合、館山自動車道の君津インターチェンジから約40分です。電車の場合、JR外房線「安房鴨川」駅からバスを利用します。安房鴨川駅は特急わかしおも発着する主要駅のため、東京方面からのアクセス拠点として使いやすい立地です。
東京駅からアクアライン経由の高速バス「アクシー号」を利用すると、約1時間50分でアクセスできます。マイカーを使わない場合は、この高速バスも選択肢になります。
いずれのルートで訪れる場合も、安房鴨川駅または高速バスの停留所から神社までは、路線バスまたはタクシーでの移動が必要です。徒歩で向かうには距離があるため、公共交通機関を使う場合はバスの時刻表を事前に確認しておくことをおすすめします。
駐車場(要注意)
吉保八幡神社には乗用車・大型バスともに専用駐車場がありません。車で向かう場合は、周辺の駐車スペースや公共交通機関の利用を検討してください。神事の性質上、神社周辺の道路が混み合う可能性もあります。
交通規制について

約210メートルの馬場を馬が疾駆する神事のため、当日は神社周辺の道路で交通規制が実施される可能性があります。2026年8月21日時点で、具体的な規制区間・時間の正式発表は確認できていません。専用駐車場がないこととあわせて、車で近づく予定がある場合は事前に鴨川市郷土資料館へ確認することをおすすめします。
雨天時の扱い
公式サイトには、天候等により開催時間が前後する可能性があるとの記載がありますが、中止基準についての明確な取り決めは2026年8月21日時点で確認できていません。荒天が予想される日は、事前に鴨川市郷土資料館(04-7093-3800)に問い合わせることをおすすめします。★2026年9月9日に鴨川市公式サイト(郷土資料館ページ、2026年8月26日更新)を再確認しましたが、「15時頃に行われます」「天候等により時間は前後する場合がございます」という記載のままで、中止基準の追加発表はありません。問い合わせ先の電話番号(04-7093-3800)も変わっていません。
750年以上続いてきた神事とはいえ、年によっては天候不順で内容が変更される可能性もゼロではありません。訪問直前の天気予報とあわせて、公式情報を確認する習慣をつけておくと安心です。
雨天の場合、馬場の状態が悪くなり神事の実施自体に影響が出る可能性も考えられます。台風シーズンとも重なる9月下旬の開催のため、直前の天気予報を確認したうえで訪問を計画することをおすすめします。
服装・持ち物
屋外の神事で、9月下旬とはいえ日中はまだ暑さが残る時期です。帽子や日傘、水分補給用の飲み物を用意しておくと安心です。開始が15:00からのため、終了時刻によっては夕方の冷え込みに備えて羽織るものを1枚持っておくと安心です。日中と夜間の気温差が大きくなりやすい時期でもあるため、体温調節しやすい服装を選ぶとよいでしょう。
神社の境内・馬場周辺は舗装されていない土地も多いと考えられます。天候によってはぬかるみができることもあるため、汚れてもよい靴を選ぶと安心です。虫よけスプレーも、田園地帯という立地を考えると持参しておくと快適に過ごせます。
公共交通機関を利用する場合は、帰りのバス・電車の時刻もあわせて確認しておくと安心です。日没が近づく時間帯の神事のため、暗くなる前に会場を出発できるよう、時間の余裕を持って行動することをおすすめします。
馬場のそばで立ち見になることが予想されるため、歩きやすい靴を選んでください。長時間の見物を予定している場合は、レジャーシートや折りたたみ椅子があると足腰の負担を減らせます。
混雑を避けるコツ
県指定の無形民俗文化財ということもあり、地元の方に加えて遠方からの見学者も集まることが予想されます。良い場所で見学したい場合は、開始時刻(15:00)より早めに現地入りして場所を確保することをおすすめします。
神事全体の所要時間は、3往復・合計9回の射撃を行う構成から考えると、1時間前後を見込んでおくとよいでしょう。ただし正確な所要時間は2026年8月21日時点で公式に確認できていないため、目安として捉えてください。開始前の準備や儀式的な進行も含めると、もう少し長くなる可能性もあります。
専用駐車場がないため、車で訪れる人は特に早めの行動が重要です。周辺の交通状況によっては、公共交通機関や高速バスを使うほうが確実に到着できる場合もあります。
周辺の見どころ
鴨川市には大山千枚田や大本山誕生寺、鴨川シーワールドなど、他にも見どころが点在しています。吉保八幡神社は市内の内陸部に位置するため、海沿いのスポットとあわせて訪れる場合は移動時間を見込んで計画を立てることをおすすめします。
大山千枚田では、2026年10月24日から「棚田のあかり」というライトアップイベントも予定されています。吉保八幡のやぶさめ(9月27日)とは開催時期が異なりますが、同じ鴨川市内で稲作にゆかりのある行事・スポットが複数あるという点は、地域を知るうえで興味深い共通点です。
9月最終日曜という開催時期は、稲刈り前後の時期にもあたります。神事の背景にある農耕儀礼としての意味を、実際の田園風景とあわせて感じられるタイミングでもあります。
他の流鏑馬との違い
流鏑馬というと、鎌倉の鶴岡八幡宮など武家の武芸としての形式で知られることが多いですが、吉保八幡のやぶさめは性格が異なります。矢を的に当てることを競うのではなく、当たり外れそのものが翌年の稲作の豊凶を占う「お告げ」とされる点が、農耕儀礼としての特徴です。
1回の神事で3つの的に対して3回、合計9回の射撃が行われる計算になります。的は早稲・中稲・晩稲を表しているとされ、それぞれの結果が異なる稲の品種・時期の豊凶を示すという、房総の農業と結びついた独自の解釈がなされています。
稲作を中心とした地域社会の中で、収穫の見通しを神事という形で共有する仕組みだったとも考えられます。科学的な農業予測技術がなかった時代、こうした神事が持っていた実務的な意味合いも想像しながら見学すると、より興味深く感じられるかもしれません。
見学する際に知っておきたいこと
吉保八幡のやぶさめは、単なる見世物としての祭りではなく、地域の五穀豊穣を願う神聖な神事です。見学する際は、馬場や社殿への立ち入りが制限されているエリアには入らず、係員や地元の方の案内に従うようにしてください。
矢が的を外れることにも意味があるとされる神事のため、単純に「当たった・外れた」で盛り上がるのではなく、豊凶を占うという神事本来の意味を意識しながら見学すると、より深く楽しめます。長年にわたり地域の氏子によって守られてきた行事だという背景を知っておくと、見え方が変わってくるかもしれません。観光イベントというより、地域の暮らしに根ざした神事だという意識を持って見学することをおすすめします。
馬が疾走する神事のため、動物の動きには不測の要素もあります。安全のため、指定された見学エリアの外に出ないこと、馬に不用意に近づかないことを徹底してください。
よくある質問
見学は無料ですか?
料金についての明確な記載は2026年8月21日時点で確認できていません。神事の見学自体は無料と考えられますが、詳細は問い合わせ先で確認してください。地域の神事という性質上、見学に特別な入場料が設定されている可能性は低いと考えられます。
子供と一緒に見学できますか?
屋外の神事で、馬が疾走する馬場のそばで見物する形になります。安全のため、係員の案内する見物エリアの外に出ないよう、子供連れの場合は特に注意してください。長時間の見学が難しい小さな子供連れの場合は、見どころとなる時間帯を絞って訪れる方法もあります。
写真撮影はできますか?
2026年8月21日時点で、撮影可否についての公式な案内は確認できていません。神聖な神事のため、撮影の際は周囲への配慮を心がけてください。
他の流鏑馬とどう違いますか?
武家の武芸として発展した流鏑馬とは異なり、吉保八幡のやぶさめは農耕儀礼としての性格が強い点が特徴です。矢が的に当たるかどうかで翌年の稲作の豊凶を占うという点が、他の流鏑馬とは異なる独自の要素です。
例大祭とは別の行事ですか?
吉保八幡神社の例大祭にあわせて、この流鏑馬神事が執り行われます。神社の年間行事の中でも中心的な位置づけの神事といえます。例大祭全体のスケジュールや他の神事の有無については、2026年8月21日時点でこの記事では詳しく確認できていません。気になる場合は事前に問い合わせておくとよいでしょう。
騎射者はどうやって選ばれますか?
2026年8月21日時点で、騎射者の選出方法についての詳しい案内は確認できていません。1週間の精進潔斎が課されることから、地域や保存会の中で一定の資格・準備を経て選ばれると考えられますが、詳細は保存会または鴨川市郷土資料館に確認してください。乗馬の技術と神事への理解、両方が求められる役目だと考えられます。
吉保八幡神社について
吉保八幡神社は、天長6年(829年)に宇佐八幡を吉保の地の守護神として祀ったことに始まる古社です。「吉保」の地名を冠したこの神社は、長狭地域における信仰の中心のひとつとして、1000年以上にわたり地域に根づいてきました。平安時代初期の創建から数えると、令和の現在まで1000年以上の歴史を刻んでいることになります。
室町時代の文安年間(1444年〜1448年)には、里見家の家臣・緒方茂次によって社殿が再興されています。戦国時代の房総半島を治めた里見家との関わりも、この神社の歴史の厚みを物語っています。
吉保八幡神社が位置する長狭(ながさ)地域は、鴨川市の中でも内陸寄りの田園地帯です。稲作を中心とした農業が盛んな土地であったことが、五穀豊穣を占うやぶさめ神事が根づいた背景にあると考えられます。海に近い南房総エリアのイメージとは少し異なる、内陸の農村文化を感じられる場所でもあります。
長狭地域は「長狭米」というブランド米の産地としても知られています。江戸時代から良質米の産地として知られ、明治天皇の即位式にあたる大嘗祭に献上する米の栽培地に選ばれた実績も残る土地です。稲作にゆかりの深いこの土地で、収穫の豊凶を占う神事が今も続けられていることは、地域の農業とのつながりを象徴する出来事といえるでしょう。
まとめ
吉保八幡のやぶさめは、2026年9月27日(日)15:00〜、鴨川市の吉保八幡神社で開催されます。鎌倉時代中期の文永年間(1264年〜1275年)に始まり、1965年4月27日に千葉県無形民俗文化財に指定された神事で、白装束の騎射者が210メートルの馬場を疾駆しながら3つの的を射る様子を見学できます。
矢を的に当てることを競う武芸としての流鏑馬とは異なり、当たり外れによって翌年の稲作の豊凶を占う農耕儀礼という点が、吉保八幡のやぶさめならではの特徴です。仲・大川面・宮山・八丁の各地区の氏子でつくる保存会によって、750年以上にわたり受け継がれてきました。専用駐車場がないため、公共交通機関の利用もあわせて検討してください。
神社に専用駐車場がないため、公共交通機関の利用も検討してください。天候による時間変更の可能性があるため、訪れる前に最新情報を確認することをおすすめします。
矢が当たるか外れるかで翌年の稲作を占うという、他の流鏑馬にはない独自の意味を持つ神事です。房総の農村文化を今に伝える貴重な機会として、一度見学してみる価値のあるイベントです。
南房総版では、館山・勝浦を中心に南房総市・鴨川市・鋸南町のイベントや店舗情報を今後も取り上げていきます。


