勝浦市川津にある「官軍塚」は、戊辰戦争末期に起きた海難事故の犠牲者を慰霊する史跡です。千葉県指定史跡で、周辺には約250本の河津桜が植えられ、展望台からは太平洋を一望できます。
この記事では、駐車場・アクセスと、官軍塚に伝わる戊辰戦争の悲劇の史実をまとめました。所在地は千葉県勝浦市川津1394です。
見学料金・営業時間
官軍塚公園は入園無料で見学できます。屋外の公園のため営業時間の制限や定休日という区分自体がなく、24時間出入りできる場所です(勝浦市公式サイト、2026年8月27日時点)。

戊辰戦争の悲劇
勝浦市公式サイトによると、明治2年(1869年)2月12日(旧暦1月2日)、熊本藩士の寺尾九郎右衛門が指揮する肥後十二番大隊など約350人が、米国汽船「ハーマン号」に乗り込み北海道へ向けて出発しました。函館五稜郭で抵抗を続ける旧幕府軍を鎮圧するため、援軍として送られた部隊でした。
ところが出発の翌日夜、船は勝浦市川津沖の岩礁地帯で大暴風雨に遭って難破しました。地元・川津の住民による決死の救助活動が行われましたが、200人以上(230人あまりとする記録もあります)の犠牲者を出す大惨事となりました。北海道へ援軍として向かう途中、房総の海で命を落とすことになったという、歴史のめぐり合わせを感じさせる出来事です。

ハーマン号という船
難破した「ハーマン号」は、もともと1847年にアメリカ・ニューヨークで建造された木造蒸気外輪船です。3本マスト・三層甲板の構造で、全長71m・全幅12m・深さ9.6m、総トン数は1,734余総トン、1,100馬力の蒸気ボイラーを搭載した、当時としては大型の船でした。
沈没から100年以上が経った平成3・4年(1991〜1992年)頃、日本水中考古学調査会の調査によって、川津沖に沈む船体がハーマン号であることが明らかになりました。さらに平成10〜13年(1998〜2001年)の水中調査で正確な沈没位置が特定され、船体材の一部や食器類などの生活用品が引き上げられました。引き上げられた遺物は勝浦市役所で展示されており、市内の津慶寺にはハーマン号の揚錨機と見られる機械部品も設置されています。
なお出発日については、勝浦市公式サイトの中でも「2月12日」(官軍塚のページ)と「2月13日」(ハーマン号のページ)で表記に食い違いがあります。いずれも旧暦1月2日、明治2年という点は一致していますが、食い違いの原因は2026年8月27日時点で確認できていません。
約150年続く慰霊と史跡指定
犠牲者は地元の手で埋葬・供養され、明治11年(1878年)には「華立巌(はなたていわ)碑」という慰霊碑が建てられました。これが現在の官軍塚です。以来、地元の川津区では犠牲者の慰霊を約150年にわたって続けています。
官軍塚は昭和38年(1963年)5月4日に千葉県の史跡に指定されました。戊辰戦争という全国史の一場面が、房総の小さな漁村の歴史と結びついている場所として、今も大切に守られています。
展望台と河津桜
官軍塚は海に面した高台に位置し、展望台からは太平洋を見渡せます。周辺には約250本の河津桜が植えられており、例年の見頃は2月下旬〜3月中旬です。満開になると塚に至る遊歩道は桜のトンネルのようになり、抜けた先に青い太平洋が広がる景色が楽しめます。犠牲者を悼む史跡でありながら、春には多くの花見客が訪れる場所でもあります。
アクセス
電車の場合、JR外房線「勝浦」駅から徒歩約20分です。情報源によって徒歩25分・徒歩26分・徒歩45分など案内に幅があるため、余裕を持ったスケジュールで訪れることをおすすめします。車の場合、圏央道「市原鶴舞」インターチェンジから約40分が目安です。八幡岬公園から北東へ約2kmの位置にあります。
駐車場
無料駐車場があり、乗用車は約20台分利用できます。大型バスの駐車スペースはありません。桜の見頃の時期は混雑することもあるため、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
よくある質問
桜はいつ頃見頃ですか?
河津桜のため、例年2月下旬〜3月中旬が見頃です。2026年の具体的な開花状況については2026年8月27日時点で公式発表がなく確認できていません。訪問前に勝浦市観光協会へ確認することをおすすめします。
駐車場は混雑しますか?
無料駐車場は約20台分と限られているため、桜の見頃にあたる2月下旬〜3月中旬の週末は満車になることもあります。時間に余裕を持って訪れるか、JR勝浦駅から徒歩でのアクセスも検討することをおすすめします。
展望台からはどんな景色が見えますか?
海に面した高台にあるため、太平洋を広く見渡せます。天候が良い日は水平線までくっきりと見えることもあります。日中は太平洋の青さが際立ち、夕方16時〜17時頃は光の角度によって海の色合いが変わって見えることもあります。
慰霊祭のような行事はありますか?
地元の川津区で慰霊が続けられていると勝浦市公式サイトに記載がありますが、一般の見学者が参加できる行事の有無や日程については2026年8月27日時点で確認できていません。詳しくは勝浦市生涯学習課へ問い合わせることをおすすめします。
子供連れでも見学できますか?
整備された公園のため、家族連れでの見学もしやすい場所です。ただし高台にあるため、小さな子供は展望台周辺で目を離さないよう注意してください。駐車場から展望台までは石段を上る必要があります。
近くに他の観光スポットはありますか?
約2km南西には八幡岬公園があり、勝浦城跡や太平洋の眺めを楽しめます。勝浦朝市が開かれる中心部までは車で10分程度が目安です。あわせて巡るプランもおすすめです。
雨や強風の日でも見学できますか?
屋外の展望台のため、雨天時は足元が滑りやすくなることがあります。海に面した高台で風が強く吹きやすい立地でもあるため、荒天時の訪問は避け、天候が落ち着いた日に訪れることをおすすめします。
まとめ
官軍塚は、戊辰戦争末期に約350人を乗せた米国汽船ハーマン号が川津沖で難破し、200人以上が犠牲になった史実を伝える史跡です。明治11年(1878年)の慰霊碑建立から約150年、地元で慰霊が続けられています。
昭和38年(1963年)に千葉県史跡に指定され、現在は約250本の河津桜が咲く花見の名所としても知られています。展望台からの太平洋の眺めとあわせて、房総の歴史を感じられる場所です。
勝浦市内には勝浦城主の菩提寺覚翁寺や、階段びなで知られる遠見岬神社もあります。あわせて巡るプランもおすすめです。
南房総版では、館山・勝浦を中心に南房総市・鴨川市・鋸南町のイベントや店舗情報を今後も取り上げていきます。あわせて勝浦エリアの記事一覧もチェックしてみてください。



